大航海物語
サバクトビバッタ
Desert Locust


参考資料
Republique de Mali
害虫対策

バッタ駆除農薬の空中散布
マリ 1964 発行

サバクバッタ
ニジェ|ル河の沿岸 マリの被害地
バッタとアフリカの地図
マリ 1964 発行

サバクトビバッタ (砂漠飛蝗)
 Desert Locust、
  学名:Schistocerca gregaria

サバクトビバッタはバッタ科のバッタで、別名サバクバッタとも呼ばれ、時々大発生し、過去何世紀もの間、アフリカ、中東、アジアの農業に被害を与え続けている。現在でも、世界の人口の10分の1の人々が、この昆虫の被害を受けている。サバクトビバッタは体が大きく、移動距離も速度も大きいため、大きな蝗害を起こしやすい。1年当たりの世代交代回数は2〜5回である。エチオピア高原 (Ethiopian Highlands) 北部のチグレー (Tigray Region) やエリトリアで生まれた幼虫は、紅海沿岸にゆっくりと移動してそこで成長。そのためエリトリアやスーダンなどで幼虫のうちに対策を取れば、アフリカ東部での蝗害を予防することが可能である。2004年に発生したサバクトビバッタは西アフリカの農業に大きな打撃を与え、地域の食糧安全保障 (Food security) に影響が出た。サバクトビバッタの被害は、これらの地域の飢饉に大きな影響を与えている。

サバクトビバッタは、雨季になるまで、1匹1匹が別々に暮らし、雨季になって草が生長すると、卵が孵った時に、草が餌と隠れ家になるため雌が砂地に卵を産む。ところが草地が元々少なかったり、降水量が減って草地が減ったりすると、幼虫は残された餌場を求めて集まってくる。このような集団環境で育ったバッタが生む子の体色は、元来の緑ではなく、黄色や黒に変化する。この現象は相変異と呼ばれている。幼虫が成長すると、茶色や赤、黄色になる。また、羽根に比べて体長が短くなる。さらに、互いを引き寄せるフェロモンを放ち、群れを作るようになる。

大発生期を除いて、サバクバッタの分布はモーリタニアを西端としてサハラ砂漠、アラビア半島、インド北部までに集中している。気象条件と生活環境によっては、群れが世代交代を繰り返しながら移動していくため、北はスペインやロシア、南はナイジェリアやケニア、東はインドや西南アジアにまで達する。このためサバクバッタによる蝗害は60ヶ国、地球上の陸地の約20%の範囲で起こる。

群れは、風に乗って移動するため、移動速度は概ね風速に近い。1日あたりの飛行距離は100〜200kmで、到達高度は最高で海抜2,000m。これ以上は気温が低すぎるため上ることができない。そのため、アトラス山脈、ヒンドゥークシュ山脈(アフガニスタン)、ヒマラヤ山脈を超えて進むことはできない。また、アフリカの熱帯雨林や中央ヨーロッパに進む事はない。一方で、紅海を超えてアフリカとアラビア半島を移動することが可能で、1987年から1989年にかけての大発生の時には10日間をかけてアフリカから大西洋を越えてカリブ海にまで到達している。1つの群れは最大で1,200kuを移動し、1平方kuあたりに4,000万〜8,000万匹が含まれる。バッタの寿命は3〜6ヵ月で、群れは10〜16世代にわたって増加を続ける。

サバクバッタは、毎日自分の体重と同じ量の緑の植物を食べ、種類は葉、花、皮、茎、果実、種で、農作物、非農作物のいずれも食し、バッタからの排泄物が食べ残した食物を腐らせる。サバクバッタによる農被害は、早くも聖書やコーランに見られる。

2003/10月から2005/5月まで、西アフリカでサバクバッタの大量発生があって、始めはモーリタニア、マリ、ニジェール、スーダンでそれぞれ独立した小規模の群れが発生。この後、セネガルのダカールからモロッコ付近で2日間の異常な大雨が降り、それが原因で6ヵ月にわたってサバクバッタは急速に増え続けた。群れは移動で拡散し、20ヵ国以上が被害を受けた。この被害は2005年前半に降水量が減り、気温が下がることでようやく終結した。 被害を受けたのは、アルジェリア、ブルキナファソ、カナリア諸島、カーボベルデ、チャド、エジプト、エチオピア、ガンビア、ギリシア、ギニア、ギニアビサウ、イスラエル、ヨルダン、レバノン、リビア、マリ共和国、モーリタニア、モロッコ、ニジェール、サウジアラビア、セネガル、スーダン、シリア、チュニジアである。〜大百科辞典他より

参考HP:〜
 サハラ砂漠の地図アフリカの地図

・上記はこちらの文献などを参照させてもらいました。       09/7/28

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