世界遺産(ラオス)
ワット・プー遺跡
What Phou


ROYAUME de LAOS
ワット・プー遺跡
ナンディン寺院の遺跡

Nandin Temple
 頂上にある本殿(主祠堂)
南・北の宮殿(祠堂)
ラオス 1992 発行

ワット・プー遺跡
 Wat Phou
 世界遺産:ユネスコの文化遺産(2001, Cultural Heritage Site)
 正式名称:チャンパサック県の文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺産群
 (Vat Phou and Associated Ancient Settlements within the Champasak Cultural Landscape)
 (Wat:寺院、Phou:山、英名:Vat Phou)
ワット・プー遺跡は、ラオスのチャンパーサック県(Champasak Province) チャンパーサック郡にあるカオ山(Phu Kao旧名:Mt. Lingaparvata)の東麓にあるワット・プー遺跡(ヒンドゥー寺院の廃墟)とその周辺を取り巻く遺跡群の総称のことです。チャムパーサック県の一部(390ku)が2001/12月ユネスコの世界遺産(文化遺産区域、チャムパーサック遺産・文化的景観保護区域)に登録され、考古学的遺跡と自然景観が組み合わされた世界遺産となりました。

ワット・プー遺跡は、ラオス首都ヴィエンチャンから約500km
チャンパーサックの景観

ラオス 1960/7/1 発行
離れた(バス約11時間)ラオス第2の都市パークセー市(Pakse city、87,000人)から南へ約50km(バス約1時間)の所のチャンパサック平原に有って、メコン河(Mekong river, 4,350km)を挟んだ対岸にクメール時代の大遺跡ワットプーがあります(ワット=寺、プー=山) 。そこは、クメール人によって築かれたヒンドゥー教寺院遺跡で、寺院の参道には男根をかたどった「リンガ」が飾られています。現在は仏教寺院としてラオスの人々の信仰を集めています。ラオスに2つある世界遺産のひとつで、もう一つはルアン・パバン(旧:ルアン・プラバン)の町(旧市街、Town of Luang Prabang, 1995)です。

ワット・プー遺跡は、最初は5世紀頃に建造され、7世紀頃にこの付近に住んでいたクメール人がカオ山の形に聖なるものを感じ、ここに寺院を建てたと言われています。現在の遺跡は11〜13世紀頃にヒンズー寺院として建てられた物で、カンボジアにアンコールトムなどを遺したクメール王国(Khmer Empire, 802-1431)の大寺院遺跡で、ラオス南部のタイ、カンボジア国境近くにあります。11世紀頃にクメール人がカオ山にプラーサート(宮殿あるいは城)として建設するも、ラーンサーン王国時代にラーオ族の勢力がここを占拠して、その城が神聖視され、新たにワット(寺)としました。

山の麓に聖なる池と一対の祠堂(南、北祠堂)が有。そこから山腹へ至る長い階段を上りきると美しい主祠堂が有。主祠堂周辺にはクメール美術の要素を持つビシュヌ神やシバ神などの彫刻が有。最上部のテラスからは平原とメコン川を一望できます。このメコン川こそが古くから交通と運輸の大動脈でした。ワットプー遺跡のあるチャムパーサック地方はメコン川によって紀元前から栄えていました。

14世紀に現在の仏教徒であるラオス人がこの地方に入り、ヒンドゥー教の寺院であったワット・プー寺院をそのまま利用して、仏像を安置したので、今も寺院遺跡内部はヒンズー教の飾りと仏像が混在し、不思議な空間をつくり出しています。現在は仏教寺院として、山麓の人々の厚い信仰を集めています。

ラオス政府は1988年にワット・プーを含む地域と、近隣の他の寺を中心とする2地域、合計3地域からなる広域な地区を、ワット・プーの関連遺跡および周辺の自然を守るために保護地区に指定。1997年には大統領令により、遺跡の保護枠が明確に定められ、保護がさらに積極的に行われるようになりました。開発面では1995年・1996年に、ワット・プーを持つチャンパーサック県の観光開発・インフラ整備が行われました。これで遺跡は観光地として注目を集めはじめ、1997年からは観光客が激増、以前に比べ倍増。同年に日本やイタリアの基金がこの地域に投資されたことにより、さらに開発が進められました。この頃から、世界遺産への登録が言われ始め、2001年にはラオス政府の承認を得ないまま、ICOMOSに推薦されてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました。

3地域は、ワット・プーと付随の貯水池(バライ)などの一角、その南のナーンシダー寺とダーオタオ寺、そしてメコン河対岸のトモ(ウモン)寺など。それらの年代は、10世紀から12世紀で、クメールのアンコール帝国(9〜15世紀)の石造寺院の特徴をもっています。古代道路(クメール街道)が此処からアンコールの中心地、カンボジアのアンコール遺跡群の観光拠点シェムリアップ州々都シェムリアップ(Siem Reap)へと一直線につながっていることから両者に関係があったとみられています。

なおバライ(baray)は、古代インドの世界観の中で中心にそびえる聖なる山を取り囲む長方形の区画ことで貯水池になっており、この聖山はバラモン教、仏教、ジャイナ教、ヒンドゥー教にも共有される須弥山(しゅみせん、サンスクリット:Sumeru)を中心とする敷地で、東南アジアのクメール王朝における建築様式の共通要素です。このようなパライは寺院の敷地となる「長方形の人工水域」のことで、山の麓のナンディン寺院(Nandin Temple)がそれです。その寺院から山へ登る道が参道(Causwey:土手道)になっていて、その両側にリンガが立ち並んでおり、反対側の入口部分には、南と北の祠堂(宮殿)が建っています。

ボランティアでワット・プー遺跡の出土品保管場建設に参加している日本人の岩月裕二さんが、此処から10km程のアマート村に居住しています。

こちらで世界遺産の
日光東照宮 (日本)
アンコール・ワット (カンボジア)
ピラミッド (エジプト)
をお楽しみください。

参考HP:〜
ワット・プー遺跡の配置図
 (cliff:崖、step:階段、terrace:テラス、courtyard:中庭、Causwey:土手道、building:建物)
ワット・プー遺跡の場所地図(日本語)
ワット・プー遺跡の公式HP
ラオスの地図
ラオスの地図(県区分地図)、(18)チャンパーサック県〜県都:パークセー

・上記はこちらの文献などを参照させてもらいました。     14/4/8

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