大航海物語 大航海時代 と 新世界の産物(食料)
サツマイモ
 Sweet potato

参考資料
Peru
サツマイモの花
Ipomoea batatas


ペルー 2001/8/24 発行

日本郵便 Nippon
サツマイモの実

日本 2013/8/30 発行
琉球郵便
1605 甘蔗伝来350年 1955
サツマイモの花
野國總管宮
琉球政府 1955/11/26 発行

サツマイモ:〜:南アメリカ大陸、ペルー熱帯地方原産
  Sweet potato

 和名:薩摩芋(さつまいも)、
 別名:甘藷(かんしょ)、唐芋(からいも:とういも)、琉球薯(りゅうきゅういも)
 仲間:アサガオ、ヨウサイ(アサガオ菜)
 英名:Sweet potato
 学名:Ipomoea batatas L
 分類:
   界:植物界 Plantae
   門:被子植物門 Magnoliophyta
   綱:双子葉植物綱 Magnoliopsida
   目:ナス目 Solanales
   科:ヒルガオ科 Convolvulaceae
   属:サツマイモ属 Ipomoea
   種:サツマイモ I. batatas
   原産地:南アメリカの熱帯地方
▼日本でのサツマイモ
サツマイモはフィリピンから中国に伝来したのが1594年で、同年に宮古島の村役人、長真氏旨屋(砂川親雲上旨屋)が首里王府への帰途に逆風で中国に漂着しました。そして、1597年に中国を出発するも、今度は九州に流れ着き、それからようやく帰島することができました。この時に宮古島へ苗を持ち帰ったのが日本最初の伝来となりました。旨屋は栽培の普及に努め、島では主食となるほどに広まりました。没後はンーヌ主(芋の神様)として御獄に祀られました。ただ、伝承の考察から、実際には1618年ではないかという説も有。宮古島から沖縄本島へは伝播せず、沖縄では1612年の
与那国島、1694年の石垣島など、それぞれの島ごとに中国から、宮古島とは関係なくばらばらに伝来し、その島内では急速に普及が図られるものの、他の島へ伝えるのは消極的でした。

1604年には当時の琉球王国(現在の沖縄県)沖縄本島に伝わりました。明への進貢船の事務職長(総管)であった野國総管が明(今日の中国福建省付近)からの帰途、苗を鉢植えにして北谷間切野国村(現:沖縄県中頭郡嘉手納町)に持ち帰り、儀間村の地頭・儀間真常が総管から苗を分けてもらい栽培に成功し、痩せ地でも育つことから広まりました。種子島や本土に伝来したのはこちらの系統であるとされています。なお、琉球政府は1605年の伝来と主張していました。
野國總管宮

1698(元禄11)/3月、種子島に伝わりました。領主の種子島久基(種子島氏第19代当主、栖林公)は救荒作物として甘藷に関心を寄せ、琉球の尚貞王より甘藷一籠の寄贈を受けて、家臣西村時乗に栽培法の研修を命じました。これを大瀬休左衛門が下石寺において試作し、栽培に成功したと伝えられています。西之表市下石寺神社下に「日本甘藷栽培初地之碑」が建っています。

1705年(1709説有)に薩摩の山川の前田利右衛門が、船乗りとして琉球を訪れ、甘藷を持ち帰り、「カライモ」と呼び、やがて薩摩藩で栽培されるようになりました。

1732年の享保の大飢饉で西日本が大凶作に見舞われ、深刻な食料不足に陥る中、サツマイモの有用性が日本中に知られることになりました。八代将軍の徳川吉宗はサツマイモの栽培を関東に広めようと決意。当時、儒学者としての才能が評価されていた青木昆陽が起用され、その才能を買っていた八丁堀の与力の加藤枝直が、町奉行・大岡忠相に推挙。昆陽は、同じ伊藤東涯門下の先輩である松岡成章の著書「番藷録」や中国の文献を参考にして、サツマイモの効用を説いた「蕃藷考」を著し、吉宗に献上しました。

1734年に青木昆陽は薩摩藩から甘藷の苗を取り寄せ、薩摩芋(サツマイモ)を江戸小石川植物園、下総の幕張村(現:千葉市花見川区)、上総の九十九里浜の不動堂村(現:九十九里町)で試験栽培し、1735年栽培を確認。これ以後、東日本にも広く普及するようになりました。幕末から明治期には川越の赤沢仁兵衛が実験・研究し、まとめた「赤沢式甘藷栽培法」で収穫量が増加しました。

▼原産地とその伝播(アジアへは大航海時代に伝わる
サツマイモの原産地は南アメリカ大陸、ペルー熱帯地方とされています。スペイン人或いはポルトガル人が東南アジアに導入し、ルソン島(フィリピン)から中国を経て、1597年に宮古島へ伝わり、17世紀の初め頃に琉球、九州、その後八丈島、本州と伝わってきました。アジアでは外来植物で、日本では中国(唐)から伝来したため、唐芋とも呼ばれます。

1955年(昭和30)に西山市三博士がメキシコで祖先に当たる野生種を見つけ、イポメア・トリフィーダ(Ipomoea trifidas)と名付けました。

ニュージーランドへは10世紀頃に伝わり、クマラ(kumara)の名で広く消費されています。西洋人の来航前に既にポリネシア域内では広く栽培されていたため、古代ポリネシア人は南米までの航海を行っていたのではないかと推測されています。それを実証するためヘイエルダール博士コンチキ号の大航海で航海実験をしました。

▼サツマイモの栄養
サツマイモは繁殖力が強く育てやすいこと、保存性も高いことから、飢饉や食糧難の時のお救い食糧になりました。第2次大戦の敗戦後には、サツマイモは戦後の食糧難の時に代用食として、イヤというほど食べたという人方も多いのです。

飽食の現代においては、サツマイモは一般の野菜として、また天然のスイーツとして用いられるようになりました。サツマイモには、カリウム、鉄、マンガンといったミネラル類が豊富に含まれるほか、ビタミンもDとKを除いてはバランスよく含まれています。サツマイモのビタミンCは加熱しても壊れにくいため、ビタミンCが多く取れる食材としても知られています。食物繊維が豊富なことから、便秘の解消、大腸癌の予防なども期待できます。 同じ量のご飯よりもカロリーが少ないため、炭水化物として、白米の代わりにサツマイモを食べる、というダイエット方法もあるようです。ただ、ご飯よりは少ないとはいえ、野菜としてはカロリーが高いので、食べ過ぎには注意しましょう。カロリー以外にも、サツマイモで注意したいのは、おならです。サツマイモのデンプンは、ご飯よりも消化しづらく、胃や小腸で消化しきれなかったものが、大腸に届き、そこで腸内細菌の栄養源となり、そこでガスが発生すると考えられています。皮ごと食べると、皮の裏に含まれるヤラピンという消化酵素の働きで、早めに消化されて、おならが出にくくなるともいわれています。

▼世界の産地
世界食料機構が発表した統計資料によると、2008年(平成20年)の全世界における生産量は1億605万トンであり、主食となるイモ類ではジャガイモ(同3億2556万トン)、キャッサバ(同2億3246万トン)に次ぎます。生産地域は中国に極端に集中しており、その大部分は酒類等への加工用です。
01.中国 80,522,926トン(75.9%)
02.ナイジェリア 3,318,000トン(3.1%)
03.ウガンダ 2,707,000トン(2.6%)
04.インドネシア 1,876,944トン(1.8%)
05.ベトナム 1,323,900トン(1.2%)
06.タンザニア 1,322,000トン(1.2%)
07.インド 1,094,000トン(1.0%)
08.日本 1,011,000トン(0.95%)
09.ケニア 894,781トン(0.84%)
10.マダガスカル 890,000トン(0.84%)

▼日本の産地
日本の生産量は101.1万トンで、日本の主産地は、鹿児島県、茨城県、千葉県、宮崎県、徳島県が全国のトップ5県。この5県で全国の8割、とりわけ鹿児島県は全国の4割を生産(2005(平成17)農林水産省作物統計)しています。同県ではデンプン原料用としての作付けが多いようです。これほど産地が偏在しているのには幾つかの理由が有、まず、水はけの良い火山灰を含んだ土地がサツマイモも栽培に適し、そのような土壌が鹿児島には広がっています。また、サツマイモは地上に実を付ける作物ではないため、比較的風害にも強い作物ですが、台風がしばしばくる鹿児島では、この風害に強いという点が他の作物よりも有利だといわれています。
・ブランド産地
 ・鹿児島県〜知覧紅(ちらんべに)
 ・徳島県:〜:鳴門金時(なるときんとき)
 ・石川県:〜:五郎島金時(ごろうじまきんとき・ 加賀野菜)

▼食中毒
害虫の食害やフザリウム(Fusarium)属のカビからの防御物質(ファイトアレキシン)として苦味のあるフラノテルペン類のイポメアマロン(iopmeamarone)、イポメアニン(ipomeanine)やイポメアノール(ipomeanol)類を生合成します。この病変は甘藷黒斑病と呼ばれイモは黒緑色から黒色に変色し、イポメアマロンなどの生成物には哺乳類の肝臓及び肺への毒性があり、肺の重度出血、間質性肺気腫、肺水腫等の症状を引き起こし、家畜での中毒死事例が報告されることがあります。従って、人の食用及び家畜の飼料としては使用できません。また、この苦味物質は焼酎に加工した場合でも、焼酎に移行します。

こちらで、
インカ帝国
・インカ10代の皇帝トゥパック・ユパンキ(太平洋探検航海)
を、お楽しみください。

参考HP:〜
サツマイモ花の写真
サツマイモの写真
ペルーの地図

・上記はこちらの文献などを参照させてもらいました。     13/3/20、14/2/28、14/3/20
スタンプ・メイツ
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