大航海物語 大航海時代の原動力(キッカケ)と成ったスパイス(1
コショウ
Pepper

資料

REPUBLIQUE MALAGACHE
コショウの実(PEPPER)

マダガスカル島へ移植された
胡椒(コショウ)の木の子孫
マダガスカル 1960 発行

SARAWAK
コショウのプランテーション
   
胡椒の農園(畑)


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ジ6
英領サラワク 1950 発行
Fiji

フィジー 2002/3/12 発行

SRI LANKA
コショウの実

スリランカ 2018 発行
TURKIYE
コショウの実

トルコ 2018 発行

Pitcain Islands
コショウの害虫

コショ蛾(Peppered Moth)オオシモフリエダシャク
ピトケーン 2007 発行

・コショウ(胡椒):〜:インド原産。
  和名:コショウ(胡椒の実、Pepper Vines)
  英名:pepper(ペッパー)Black-pepper
  仏名:poivre(ポイヴァール)Poivrier noir
  スペイン語:pimienta(ピミエンタ)Piper nigrum
  ポルトガル語:Pimenta(ピミエンタ)Pimenta-preta
  オランダ語:peper(ペッパー)
  学名:Piper nigrum
  分類:植物界被子植物門双子葉植物綱
       コショウ目コショウ科コショウ属コショウ種
      Plantae Magnoliophyta Magnoliopsida
       Piperales Piperaceae Piper P. nigrum
三大香料の第一に挙げられるコショウ(胡椒)はインド南部マラバル地方が原産地で、南インドでの栽培は紀元前500年代から始まり、その後まもなくしてジャワ島に移植されたといわれています。コショウはコショウ科コショウ属の熱帯性の常緑ツル植物で、ブドウの房のように果実がなり、未熟の時は緑色、熟してくると赤くなり、一般に使われる粒コショウは果実を乾燥させたものです。なお、コショウの実は世界に約300種類あるとか。

コショウにはブラックペッパー(黒胡椒)とホワイトペッパー(白胡椒)があり、ブラックペッパーは胡椒の木から取れた未熟な実を乾燥させて、すりつぶしたものです。完熟してから収穫した後、乾燥させて水に漬けて外皮を柔らかくして剥いたものがホワイトペッパーです。世界中のどんな地域を旅しても、塩の隣にブラックペッパーの小瓶が並んでいると言われているほど、なくてはならないものになっています。ブラックペッパーは強い独特の風味があり、特に牛肉との相性が良ろしいようです。ホワイトペッパーは、それよりマイルドで魚料理等と相性が良ろしいようです。ピペリン(piperine)という化学物質が胡椒に独特の風味を与えています。なお、胡椒には強力な殺菌・抗菌作用が知られており、冷蔵技術が未発達であった中世においては、料理に欠くべからざるものでもあり、大航海時代に食料を長期保存するためのものとして極めて珍重されました。ヨーロッパの様々な料理に使われており、またその影響を受けた様々な料理でも使われています。このため、インドへの航路が見つかるまでは、ヨーロッパでは非常に重宝されていました。ゲルマン部族のリーダーであったアラリック1世(Alaric I, 370-在位395-410)は西ローマ帝国(Western Roman Empire, 395-476/480)へ侵略を控える代わりに金、銀、そして胡椒を貢物として要求したそうです。

黒・白・緑・赤など様々な色の胡椒が作られる日本には、古代中国の北方・西方民族の胡人を経て伝来しました。トウガラシ(唐辛子)が伝来する以前には辛味の調味料として現在よりも多用されており、うどんの薬味としても用いられていました。現在でも辛味の調味料としてさまざまな料理に用いられています。(「胡椒茶漬け」という料理があったという記録もあるそうですよ)。

コショウが日本に最初に渡来したのは8世紀以前にさかのぼるらしく、正倉院にコショウの粒が保存されているそうです。一般に使われるようになったのは17世紀(江戸時代)で、オランダ経由で入荷するようになってからです。現代ではコショウは和食のイメージとはつながりませんが、江戸時代前半には"うどんの薬味"として流行しました。しかし江戸時代の後期になると今度は七味唐辛子が流行し、うどんにコショウを入れるという習慣は完全になくなってしまいました。日本は毎年7,000〜8,000屯のコショウを輸入しています。そのうち約3分の2がマレーシアからです。大量な輸入量ですよね〜ぇ!日本は食料需給率が30%チョットなんですから、円高大歓迎ですね。2010/1/1の円相場は:1$=92.978円でした。

なお、現在ではインド、マレーシア、インドネシアブラジルの世界四大産地に加えベトナム、他でも生産され、世界各国に輸出されています。ブラジルのコショウの生産は1933年(昭和8年)に日本人移民がシンガポールから20本の苗木をもちこんだのが始まりで、今日の大生産地にまで発展させたそうです。世界のコショウ生産量は約18,000屯で、第1位のインドは6,000屯で世界の1/3、次いでインドネシア、ブラジル、ヴェトナム、マレーシア、中国、タイ、スリランカ(1996)などとなっています。コショウの取引きでは各々の産出国名や産出される土地の名前をつけて区別しています。インド産ではマラバルこしょうとかテリチリこしょう、インドネシアではランポンこしょうとかムントクこしょう、マレーシア産ではサラワクこしょうなどと呼ばれています。各々その香りは微妙に違います。コショウには輸出国、及び輸入国に品質上の規格が設けられています。

14世紀から16世紀にかけての大航海時代とヨーロッパ列強のアジア進出は、 東方の富と貿易による利権を求めてのものだったわけですが、香辛料がその貿易の主要な産品でした。 それがどのくらい儲かったかという話が残っています。マゼランの世界一周の時にスペインから、最初は5隻の船団に238人が乗り組んで出帆しましたが、途中で嵐にあったり災難にあったりしてマゼランを含む多くの乗組員が亡くなり、帰り着いたのはヴィクトリア号ただ1隻だけで、乗組員はエルカノなど18人になりました。それでも途中でのモルッカ諸島スパイスを積み込んだので、これを売った利益で全船団の派遣費用をはるかに上回る利益があったとい伝えられています。

参考:〜
コショウの種類
黒コショウ 実が熟する直前につみ取り、乾燥させたもの。香りも辛味も強い。肉1kgに対する標準的な使用量:2〜5g、粉の黒コショウ小さじ一杯で:1.3g。
白コショウ 完熟した実の皮をむいて乾燥させたもの。
肉1kgに対する標準的な使用量:2〜5g、粉の白コショウ小さじ一杯で:1.0g。
グリーン・ペッパー 未熟な実を乾燥させないで、塩漬けや酢漬けにしたもの。(そのまま乾燥させると黒くなってしまう)。柔らかさがのこっていて、香りは弱いのですが辛味の刺激は強く、ステーキなどにのせて粒のまま生食される。
グリーン・ペッパー
(乾燥品)
最近でてきました。未熟な実をフリーズ・ドライなどの特殊な方法で急速乾燥させて、 緑を残したものです。こちらは辛さ、香りともマイルド。
ピンク・ペッパー 3種類の違うものがピンク・ペッパーという同じ名前で呼ばれて混乱。
(1)熟したコショウの実をそのまま塩漬けにしたもの。
(2)コショウボクの実。熟した実は赤く、苦味とコショウの ような香りがする。
   ただしコショウの辛味成分は無い。
(3)西洋ナナカマドの実。酸味と渋みがあり、鹿料理によく使われる。

参考HP:〜
 ・コショウ(黒胡椒と白胡椒)
 ・コショウ畑(ベトナムのフーコック島)
 ・大航海時代より前のコショウ経路地図(インド〜イタリア経路地図)

上記はこちらの文献などを参照させてもらいました。   10/1/10追記令和 R.2/10/21(2020)

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